『ジャックジャンヌ』心が死んでいた就活生に勇気をくれた、石田スイ先生の乙女ゲームを語る
「今までで一番、心が熱くなった乙女ゲームは?」
そう尋ねられたら、わたしは間違いなくこう答えます。
「石田スイ先生の『ジャックジャンヌ』です」
わたしの心が死んでいた就活生時代に出会い、心の温度を取り戻してくれた名作です♪
青春群像劇の要素と、胸を打つ恋愛ドラマの要素の両方を、100%で描き切った作品で、
“乙女ゲーム”という枠組みに囚われない作品なので、男性にもおすすめです!!
さて、突然ですが、皆さまに質問です。
「大人になり人生経験を積むにつれて、見える景色が、
少しずつ色褪せていく感覚に陥ったことはありませんか?」
例えば、初恋ときの命が燃えるようなドキドキ、
失恋したときの心臓が凍りつく絶望に比べると、大人になってからする恋愛って、
(片想いでも、両思いでも)全然別物に感じた経験ありませんか?
“なんとなく幸せに過ごす方法がわかってきて、
なんとなく不幸を避けながら歩けるようになった。”
良く言えばものすごく器用になっているなと、悪く言えば手に入らないものを諦めるクセがついてるなと、そんな風に感じた経験はありませんか?
わたしはめちゃくちゃあります( ; ; )
▼【夢】ってなんだろう?
特に、大学三年生頃の就活期にそれを感じました。
面接で、受験する企業用に書いた【将来の夢】を話しているとき、
(あれ? わたしの夢って、ホントにソレ?
…………いや、ってかそもそも夢って何だっけ)
なんだか、急に見える景色が色褪せてきて、つまらなく思えて、人生に向けていた情熱が消えていってしまったんですよね。
就活を投げ出し数ヶ月引きこもり、
貯金を崩して暮らした時期がありました。
そんな時に出会ったのが『ジャックジャンヌ』だったんですよね!
▼ヒロイン立花希佐ちゃんの【夢】には制約がある
↓ヒロインちゃんはこのピンク髪の美少女です♪
このゲームの主人公、立花希佐ちゃんは、兄である天才役者の立花継希の影を追い、女であることを隠して、少年歌劇の名門【ユニヴェール歌劇学校】に入学しました。
立花希佐ちゃんも、皆と役者としての未来を切り開くため、学校内の4つのクラスで競い合い、最優秀クラスの称号を勝ち取らんと切磋琢磨の日々を送ります。
しかし、希佐ちゃんの夢には制約があります。それは、
・一年の最後にある最終公演で主演に選ばれること
・女性であることを隠し通すこと
この二つの条件を満たせない場合、
退学となり、兄のような歌劇役者という夢への道が途絶えます。
ですので、まさに背水の陣だから、
時間も、心も、未来も、自分自身のありったけを賭けて夢に向かって全力疾走していく希佐ちゃんなのですが、
このスポ根部活動漫画のような、
熱血青春群像劇がめちゃくちゃ熱い!!!
これなんですよね。
ときに、眩しすぎる先輩の才能への劣等感で挫けそうになったり、
実力に差がついた仲間とギクシャクしたり、
怪我で舞台を降りる仲間のために悔しがったり、
泥臭く、苦しんでもがくからこそ、
夢に一歩近づいたときには、仲間と一緒に心から喜び合える!!
まさに、
友情×努力×勝利という少年漫画的テーマ
が根底にある熱くて素敵な物語です。
彼らの必死で頑張る姿は、「夢ってなんだろう?」「人生が退屈……」なんて思っていた、逃げ腰就活生のわたしの胸に迫るものがありました。
そして、
“本気になるって泥臭いけど超カッコイイ”
と、心からそう思わせてくれました。そして、
(ああ、ホントはわたし、本気になって負けるのが恐ろしかっただけかもしれない)
そんな風に気けて、今やれることを頑張ってみようと思え、心に温度を取り戻せたのは、
希佐ちゃん達の頑張る姿でした!!
さて、そんな心が死んでいた就活生に勇気をくれたこの作品について、
もっと詳しくご紹介していきます♪
▼まずジャックとジャンヌとは?
ユニヴェールは少年歌劇の名門であり、もちろん男子校なので、女役も男子が演じます。
その呼び方が、今作のタイトルにもある通り、
男役がジャック、女役がジャンヌとなっています。
(宝塚における男役と娘役のようなイメージでしょうか?)
例えば、華奢で美しい少年、白田先輩はジャンヌ、
背が高く声も太い織巻くんはジャックなどと、
基本的には自身の個性に応じてどちらか一方に専門を決めている生徒が多いです。
しかし、どんな色にも染まっていける透明さが持ち味の主人公は、
その特性ゆえにジャックもジャンヌも演じることができる、
まさにジャックジャンヌです♪
《以下ネタバレも含みますのでお気をつけください》
▼春夏秋冬の4つの公演
主人公たちは、常に次の公演で最優秀クラスとなるため、切磋琢磨していきます。
(わたし達プレイヤーもパラメーター上げを頑張ります)
そして、それぞれにテーマと葛藤があります。春夏秋冬4つの公演終了後からが個別ルートとなり、選んだ攻略対象ごとに違う内容になります。
今回は春夏秋冬四公演の中で特に心に残った公演についてお話ししていきます♪
▼秋公演
《鬼才の持ち主、高科先輩》
↑高科先輩は、普段イケメンオーラバチバチのカッコイイ男性だけど、
ひとたび演劇になると、こんな感じでめちゃくちゃ妖艶美女になります♪
秋公演は、高科先輩を取り巻く《才能》と《劣等感》
がテーマになった、人間らしさのあるストーリーが描かれます。
彼は才能ある役者たちが集うユニヴェールにおいても、特別に一目置かれる天才です。
日本舞踊の家元の家出身で、
日舞のゆっくりした動きで魅せる妖艶さ、優美さが身体に染み付いていながら、
一方で、激しいダンスをも得意とし、大きく大胆に動くカッコ良さも持ち合わせます。
ひとたび彼が舞台に立てば、
必然的に彼が中心になる、暴力的な華やかさの持ち主です。
そして、その華やかさは、ときに仲間の心を乱します。
▼劣等感との戦い
鬼才、高科先輩とペアを組んで練習することになったヒロインちゃんもまた、
彼の輝く才能を目の当たりにして苦しみ、同じ舞台でお芝居をすることが苦しくなってしまうのです。
『ああ、どんなに努力してもこの人みたいになれない……』
夢を持ったことのある人、部活動に打ち込んだ人なら、
きっと誰しも抱える普遍的な悩みですよね。
他人への憧れと、自分への情けなさが同時に襲ってくる感覚に、とても共感してしまいました。
そして、そんな苦しみの中で、
ヒロインちゃんは睦実介先輩のアドバイスに救われながら、
自分なりの輝き方を模索していきます。
(学園の先輩たち、めちゃくちゃ頼もしい! 他クラスの先輩たちも素敵な先輩ばかりです)
↓睦実先輩はこのちょっと幸薄そうなイケメンです♪
▼自分だけの輝き方
さて、
この睦実先輩こそ、
これまで高科先輩を一番近くで支えてきた縁の下の力持ち。
つまり圧倒的な華である高科先輩の器となり、相手を引き立たせ、より輝かせる役目を担う存在です。
そんな睦先輩もまた、ヒロインちゃんと同様に自分なりの役者像に悩んで、悩み抜いた末、
自分で器としての役回りを課してきたことを知ります。
そしてヒロインちゃんも、
悩み抜いた末に秋公演の舞台で自分なりの答えを見つけるのですが……
秋公演は、名シーンの連続で、何度見ても泣けてしまいます。
(声優さんたちの怪演も相まって、本当に帝国劇場でお芝居を見ている気分にさせられます)
また、ヒロインちゃんのみならず、
これまでの公演で役がもらえず燻っていた世田総司郎もまた、
同様にもがき、自分なりの答えを見つけようとします。
そんな彼らの魂の叫びのような演技は、今もわたしに勇気をくれます。
《以下重要なネタバレ含むため未プレイな方、お引き返しください》
▼冬公演
《秘密と白田先輩》
↑白田先輩はこの儚げな美貌のキャラクターです!見えないけど、男の子です!
冬公演は、白田先輩との関係における《秘密》と《信頼》が大切なテーマです。
あなたは、大切な親友ができたとき、自身の秘密を打ち明けますか?
ヒロインちゃんと白田先輩は、信頼関係を気づいてゆきますが、彼は《秘密》について何か勘づいており、それを打ち明けてくれないことに傷つき、関係がギクシャクしてしまいます。
しかし、ヒロインちゃんは打ち明けるわけにはいきません。
【女性であることを隠し通すこと】
これを破れば、即刻退学となり、夢破れてしまいます。
(自分の保身のために、大切な人たちを欺き続ける自分は、なんて醜いんだろう)
真面目なヒロインちゃんは、このように悩み苦しみます。
▼役柄と重なる自身の葛藤
また、冬公演でヒロインちゃんが演じるのが、親友に自らのアブナイ仕事を話せず、秘密を抱えた友人関係に悩む役柄チッチです。
ヒロインちゃんは、自らの役であるチッチと自分を重ね、舞台上でも葛藤し続けます。
そして、
劇中で、親友がチッチの嘘を赦す場面で、親友役の白田先輩はこう言います。
『あなたに嘘をつかせてしまったわたしを、あなた許せる?』
嘘をつかせている自分が悪いのだから、あなたは悪くないよ、という意図の、精一杯のメッセージを、役に乗せて伝えます。
『ヨモギ売りだろうが、ケバブ売りだろうが、なんでもいい。チッチ、あなたはわたしにとって大事な友達よ』
感情が込み上げ、息を呑むヒロインちゃんの耳元で、そっと、
『……お前もな』
と呟きます。
役ではない、白田先輩自身の言葉で!
『お前が何者だろうが、どうだっていい。僕は赦すよ』
そして、糸が切れたように泣き叫ぶヒロインちゃんと、母親のように抱擁し、受け止める白田先輩。
この名シーン、ボロ泣きでした( ; ; )
↓これがその冬公演のCDです! 【淡雪】という淡く切ない楽曲を白田先輩&希佐ちゃんが歌っています。白田先輩のイメージにぴったりで、聞く度泣いてしまいます( ; ; )
▼白田美ツ騎という男
白田先輩、可憐な見た目に反しかっこ良すぎるんですよね……
例えば、「女性なのでは?」と疑われ、動揺するヒロインちゃんを、
自らの女性っぽさを全面に出し、
「白田先輩こそマジで女の子」と皆に言わしめることにより、疑いの目から守るんですよ??
(見た目がどんなに女の子っぽくても、中身、男気ありまくりですよね!!! )
彼自身は女っぽい容姿をコンプレックスに感じているのに、
そのコンプレックスを武器にして守ってくれるなんて素敵すぎて思い出すだけで泣けます( ; ; )
▼この先から個別ルートへ
ここまでが、共通ルートとなり、最終公演以降が個別ルートに入り、いよいよ恋愛関係に発展していく感じです♪
共通ルートまで、めちゃくちゃ内容濃いですよね? 一つ一つの公演が面白すぎて、全然飽きずにプレイし続けました!! ホントすごい!!
それに何より、そもそも各公演に伴うストーリーが面白いのに、公演の脚本自体もしっかりあって、
『ジャックジャンヌ』という作品の中に、春夏秋冬&最終と、5つの別作品が入っているかのようなボリューム、ものすごいですよねー!!
ちなみに、ゲームの[タイトル]→[stage script]で、後から公演の脚本は見直せます♪
▼さいごに
ずいぶん長くなってしまいましたが、
ここまで読んでくださりありがとうございました♪
↓これはイラスト集などが載っている『ジャックジャンヌ』ファンブックです♪
3000円と結構高いので悩みましたが、石田先生作の美しい作品イラストが堪能できたり、作品の制作過程が垣間見えて大満足でした!
※ただ、未プレイの方はイラストのネタバレになってしまうので要注意です!
↓主人公たちの属するクラス《クウォーツ》メンバーが歌うこちらの楽曲、アマゾンプライム会員は無料で聴けます♪
↓今回熱く語らせて頂いた『ジャックジャンヌ』の本編です♪